数学ソフトウェアとフリードキュメント XVIII

会場

  • 学習院大学目白キャンパス西1号館309教室
  • 東京都豊島区目白1−5−1
  • JR山手線「目白」駅下車

日程

  • 2014年3月14日(金)

組織委員会

  • 野呂正行(神戸大学/JST CREST)
  • 高山信毅(神戸大学/JST CREST)
  • 濱田龍義(福岡大学/JST CREST/OCAMI)

後援

  • 日本数学会情報システム運用委員会

プログラム

  • 13:00-13:30 “Raspberry Pi と数学ソフトウェア” 濱田 龍義 (福岡大学/JST CREST/OCAMI)
  • 13:40-14:20 “大学における数学教育,研究のための Sage サーバ運用事例” 青井 久 (立命館大学)
  • 14:30-15:30 “近年の TeX の動向/数学教育における TeX の活用” 寺田 侑祐,蓑田 恭秀 (鉄緑会)
  • 15:40-16:10 “データサイエンスと数学ソフトウェア” 小副川 健 (富士通株式会社)
  • 16:20-16:40 “終結式計算の汎用数式処理システムへの高速実装とその展望” 横山 俊一 (九州大学 MI/JST CREST)
  • 16:40-17:40 “Sage による degree 2 の Siegel 保型形式の計算について” 竹森 翔(京都大学)

概要

  • 13:00-13:30 “Raspberry Pi と数学ソフトウェア” 濱田 龍義 (福岡大学/JST CREST/OCAMI)

Raspberry Piはイギリスの財団によって,教育用に開発された安価なコンピュータである. 標準では,Debian GNU/Linux を原型とする Raspbian と呼ばれる Linux が動作し, TeX や Maxima 等の数学ソフトウェアを利用することができる.また,Wolfram 社との契約により, Mathematica が無料で同梱されている.メモリーも512MBと限られており,CPU速度も遅いコンピュータではあるが,その可能性について紹介する.

  • 13:40-14:20 “大学における数学教育,研究のための Sage サーバ運用事例” 青井 久 (立命館大学)

立命館大学理工学部数理科学科では,スタッフと学生が気軽に活用できる数学志向のクラウド計算機環境を実現するため,Sage サーバを構築し運用している.更に,2012年度からは数理科学科の1・2回生に「実験数学A,B」を開講し,数学諸理論の具体面を体験させるために Sage サーバを活用している.今回は管理と利用の両面から,Sage サーバの運用実態を紹介するとともに、Sage の今後のあるべき方向について論じたい.

  • 14:30-15:30 “近年の TeX の動向/数学教育における TeX の活用” 寺田 侑祐,蓑田 恭秀 (鉄緑会)

前半では,TeXエンジンの拡張や周辺ソフトウェア・パッケージの開発について概観し,さらにUnicode対応・日本語対応・図版作成などの環境をめぐる昨今のTeXの動向を紹介する。後半では教育業界におけるTeXの活用事例を紹介する。数学に限らず,英語・歴史・漢文などの教育にTeXによる自動化がどのように威力を発揮し活用されているかを紹介するとともに,コンピュータリテラシーの一様でない組織内でTeXを普及させるための苦労や工夫についても述べる。

  • 15:40-16:10 “データサイエンスと数学ソフトウェア” 小副川 健 (富士通株式会社)

「ビッグデータ」という言葉が流行することに象徴されるとおり,データ分析に対する需要は,近年特にビジネスにおいて高まっている.本公演では,データ分析を用いてビジネスにおける課題を解決する職業である「データサイエンティスト」という職業を紹介し,この分野における要素技術(必要とされる数学の知識や,ソフトウェア,プログラミング言語等)について,豊富な事例と共に述べる.本公演を通して,数学と社会との,新しい関わり方を感じていただければ幸いである.

  • 16:20-16:40 “終結式計算の汎用数式処理システムへの高速実装とその展望” 横山 俊一 (九州大学 MI/JST CREST)

多変数多項式の終結式を計算する関数は、幾つかの汎用数式処理システムに実装されている。講演者は最近、この高速実装を(非オープンソースかつ商用の)計算代数システム Magma において実現したので、その成果と今後の課題を紹介する。(木村欣司氏(京都大学情報学研究科)と共同)またこのパッケージを、オープンソースシステム Sage に移植する計画について議論する。 Computing Resultant Matrix and its Determinant using Magma

  • 16:40-17:40 “Sage による degree 2 の Siegel 保型形式の計算について” 竹森 翔(京都大学)

オープンソースの数式処理システムであるSageでは,1変数の保型形式(elliptic modular form)の計算はできるが,ジーゲル保型形式などの多変数の保型形式はビルトインの関数だけではできない.講演者は,degree 2,level 1のジーゲル保型形式の計算をするSageのpackageを書いた.ヘッケ固有形式やヘッケ多項式の計算,ベクトル値保型形式の計算などを行なうことにより,そのpackageの紹介をする.また,どのように研究に役立てているかについても述べる.